官民連携の地域づくり

No.69 2017.9.13 「地方創生研究部会・建設業研究部会開催」

一般社団法人 国土政策研究会

事務局だより No.69

地方創生研究部会・建設業研究部会開催」

2017.9.13

http://www.kokuseiken.or.jp/jimukyokudayori.html

 

 やっと秋めいて参りましたが、いかがお過ごしでしょうか。部会報告をお届けします。

 

【第13回地方創生研究部会開催】

 

 平成29年8月31日、国政研本部に於いて第13回地方創生研究部会(部会長:司波寛)が開催された。今回は8月初めに開催した群馬県上野村・川場村視察報告、大田区における町工場の動向、生産緑地2022問題などが議論された。

 上野村は人口1200名程度の寒村であるが、1985年、JALの御巣鷹山への墜落による知名度の向上、東京電力の揚水発電所の建設による固定資産税収入の増加に加えて、延長約3.3kmの湯の沢トンネル開通による関越道への時間距離短縮など、産業誘致に有利な条件がここ10年で画期的に改善された。村内には標高約500mのところにある上野村総合福祉拠点が形成され、標高700mの山の中腹にある「マホーバの森」にはコテージ、バーベキューガーデン、レストラン、オートキャンプ場などのほか、人道吊り橋スカイブリッジが鍾乳洞「不二洞」へと続き、観光施設になっている。上野村役場の職員募集によるUターン・Iターン者は現在265名にのぼり、人口の約20%を占めていて、その多くは木材関連産業に従事している。

 川場村は人口4000人弱で、株式会社「田園プラザ川場」が世田谷区などの出資により運営されており、全国モデルの道の駅「田園プラザ」がある。ここには年間120万人の来客があるという。園内にはファーマーズマーケット、地ビールレストラン、そば処などが、離れた所にホテル田園プラザがある。村内には明治43年に建築された元国民学校の面影を残す歴史資料館もあって、世田谷区との協定から30年以上を経過した現在は、もはや独立独歩発展している観光地との感がある。上野村同様、林間教育の場にできれば良いと思われる。

 櫻井部会員による大田区の報告では、廃業する町工場が増える中で、横浜市立大学の関係者などにより防音に優れたダンススクールや音楽会の場所への転換が図られているが、町工場にはペンキなどの可燃物が多いので火災が心配とのことであった。

 佐藤部会員からは生産緑地2022問題が提起された。2022年には生産緑地指定から30年を迎えて農地並み課税が終わるので、三大都市圏で大量の土地が放出されることとなるが、既に空き地・空き家が増加している現在、三大都市圏以外も含めた都市内農地対策が検討されなければならないとのことである。そのため、広すぎる市街化区域の再検討、市民農園等整備事業の更なる拡充、都市計画に「緑農地地区」を設定して税制・土地の交換分合などが行える特例の法制化などが必要であるとされた。部会員からは土地の相続放棄による固定資産税の滞納、あるいは所有者不明の土地の増加が指摘され、農地は耕作を放棄すると1年余で土地が農地として使えなくなるので、耕作放棄確認後1年くらいで管理を公的に移せる簡易な制度と併せて、そのような業務を担当できる簡便自治体制度が必要であるとの結論になった。

 自由討議の中では、千葉県森林課が林業女子会@東京とタイアップして大手町で開催した里山交流イベントには多くの女性が参加しており、林業にも女性労働力の活用が可能ではないか。また、過疎地では東京の話題などが豊富なシングルマザーによる民宿経営などに期待が高まっているなどの報告があった。

 

【第5回建設業研究部会開催

 

 平成29年9月6日、国政研本部に於いて日本建設業連合会(日建連)の有賀長郎事務総長をお招きして、脇雅史会長出席のもと、第5回建設業研究部会(部会長:埜本信一)が開催された。第4回までの簡単なレビューに続いて有賀さんからお話を伺い、約2時間熱心に以下のような議論がなされた。

 日建連は土工協を始めとする土木・建築のゼネコン8団体が合併して平成23年に誕生した。目下の課題は建設業の技能労働者が高齢化して今後10年のうちに約130万人減少することが予想され、一方、建設業そのものは国のGDPに比例して事業量が増減するものの、無くなることは決してないという性質があるので、どうしても優秀な後継者を育てておく必要がある。そのため、「けんせつ小町」と呼ばれる女性を含む若者を90万人以上確保すると共に、生産性の向上による省力化を相当進めることが必要になる。

 問題はゼネコン各社が空前の利益を上げながら末端の賃金が上がらないことにある。デフレマインドが未だ残っているのであろう。また、オリンピックの後の受注が減るのではという心配から内部留保を増やしている会社もあるが、かっての東京オリンピックの後はむしろ建設受注額が増えている。

 次の問題は働き方改革で、労働基準法による年間時間外労働時間の規制が建設業とトラック業界だけ除外されていたが、今回は5年の猶予期間付きで建設業720時間、トラック業界960時間で落ち着きそうだ。休日について建設業界では3年目までに4週6休、5年で4週8休にもってゆきたい。土日の問題があるが、適正工期の中で工夫しながら土日は休めるようにしたい。土日でも仕事をすることがあるアメリカの「ワークウィーク」制度も参考になる。

 技能労働者のキャリアアップのため、キャリアアップカードの導入をできれば来年度半ばからでも開始したい。類似制度は欧米にもあり、技能を持たない就労希望者や難民などを排除することが出来るようになっており、我が国でも早く導入する必要がある。また、キャリアを積んだ技能者はカードに記録が残るので、それなりの報酬がもらえるようになるはずである。

 建設業にもアウトソーシングが流行った時期もあるが、各社とも、やはり内部の人材で仕事をこなしていくことが大切だと考えている。

 労働時間を減らすことは時間当たりの給与を増やすことにつながり、建設事業のコストアップとなるが、当面は先行投資と考えて内部努力でコストアップ分を消化する方向になりそうである。

 米国におけるデービスベーコン法または野田市の公契約条例のような、末端労務者に支払われた賃金を確認する規定の導入についても議論する必要がありそうだ。

 

【お知らせ】

 次回の水力発電研究部会は10月6日(金)午後2時から、品川の大日本プラスチックス株式会社の会議室において開催されます。参加希望者は事務局までお知らせください。

 

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